役割
リアブレーキパッドの交換は、リアホイールを外さなければ行えないのでやっかいですが、交換作業そのものは以外に簡単に行えるので、ツーリング中でも出来ます。
摩耗したパッドと新品のパッドの比較
写真はスズキ ジェベルXCの摩耗したブレーキパッドと新品のブレーキパッドです。縦にほられている溝が左の新品には中央に見られるのに対して、右の摩耗品には見られません。ほぼ限界まで使用したことが分かります。ここまで摩耗してしまうと、ブレーキディスクを傷つけてしまう場合があります。
使用する工具と用品
フロントブレーキパッド一組(純正品もしくはサードパーティー製)。
ボックスレンチ(もしくはメガネレンチ)一式、ヘキサゴンレンチ(六角レンチ)一式、+-のドライバー、モリブデングリース。
レンチ類とドライバーは工具です。モリブデングリースは熱によってボルトやナットが固着するのを防ぐために塗布するものです。整備マニュアルなどにモリブデングリースの記載は無く、わたしの経験上のものです。
交換のタイミング
リアブレーキパッドはフロントよりも走行距離辺りの寿命が長くなります。走り方によって若干の違いがありますが、1万2千キロから1万6千キロで交換します。
おおよそ1万キロを走った頃から、ツーリング中の朝晩にパッドを点検して交換するタイミングを計ります。
上記の写真のパッドの様に、摩耗して溝が見られなくなるのは、交換するタイミングが遅すぎたと言えます。溝が見られる内に交換するのが良いです。
ただし、これは純正品の場合です。
以前にデイトナ製の通称赤パッドをリアに入れて四国を走った時は、4千キロ未満で交換の時期が来てしまいました。寿命の短さに驚きました。
ここで作業をするジェベルXCのリアブレーキパッドは、ホイールを取り外さなければ交換することは出来ません。そのため、フロントのブレーキパッドよりも交換の手間がかかります。
リアブレーキパッドの交換サイクルはフロントよりも長いので、フロントほど頻繁に交換する必要はありません。
樹脂製のガードがネジ止めされています。最初にこれを取り外します。
リアのアクスルシャフトを弛めます。写真の様な大型のレンチがなければ車載工具のレンチでもかまいません。
このバイクは中古で購入した2004年式のジェベルです。
リアのアクスルシャフトが固くて廻りませんので、レンチにパイプを付けて回しました。
パイプを付けてレンチを回す際には、ネジに大きな力が加わるのでゆっくりと回してください。力一杯に急に回すとネジの頭を切ってしまう場合があります。固着して回す自信がない時はバイクショップへ依頼してください。
アクスルシャフトを緩み終えたら、バイクのリアを整備用スタンドで浮かします。
数字が書かれてあるので、今どの数字で固定されているかを覚えておきます。その上でアクスルシャフトをエンジン側へ押しやるので、一番小さな値へ回します。
反対側も同様にします。
写真のようにアクスルシャフトをエンジン側へ押しやってください。
アクスルシャフトをエンジン側へ押しやったので、チェーンが緩みました。
チェーンをスプロケットからはずしてください。
ナットとワッシャーをはずします。
はずしたナットとワッシャーの汚れを拭き取ります。
傷などがないか確認します。
アクスルシャフトを抜く前に、タイヤの下につま先を置きます。
こうすることで、タイヤが落下してバランスを崩すことを防ぎます。
アクスルシャフトを抜きます。
長期間、アクスルシャフトを抜いたことのない車両は固着していることがあります。その場合には、プラスチックハンマーで軽くたたいて押し出してください。それでも固着が取れない場合はバイクショップへ依頼してください。
ホイールをはずします。
ベアリングの位置にウエスなどを敷いて、砂などが着かないようにします。
ホイールをはずすとブレーキ本体が現れます。
ブレーキ本体はリアリンクのレールにはめ込まれているだけで、スライドさせれば簡単に外れます。ネジ止めはされていません。
ブレーキ本体は、リアリンクのレールにこの様に着いています。
実際の作業では、この時点ではまだブレーキをリアリンクからははずしません。
ブレーキ本体がレールに着いているところを、ブレーキパッドを固定しているネジを六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)で弛めます。
ブレーキパッドを固定しているネジを六角レンチ(ヘキサゴンレンチ)ではずします。最初だけレンチを使い、後は写真のように手で回します。
このネジは、ブレーキの熱で固着してしまう場合があります。固着した場合はバイクショップに依頼してください。
ネジを2つともはずすと、ブレーキパッドが自然と落ちてきます。
下に落とさないように、手で受け止めます。
ブレーキパッドに金属製のカバーを被せます。
今回は、付いていたディスクをそのまま取り付けますので、カバーも取り外しはしませんでしたが、通常は新しいブレーキパッドと交換をしますので、カバーも忘れずに取り付けてください。
ブレーキパッドを交換する時は、すり減ったパッドから新品で厚みのあるパッドへ変わるので、シリンダーをへこまさないと、ブレーキディスクが入りません。
そのために、指で押します。押しすぎないように注意してください。
このぐらい、シリンダーを押し込めれば、新品のブレーキパッドでもディスクを挟めるように入れられるはずです。
ブレーキパッドを固定するピンネジに耐熱性のあるモリブデングリースを塗布します。
今回、交換の必要のないリアブレーキを分解した理由の一つは、このネジにモリブデングリースを塗布したかったからです。これを塗布しないと、かなり高い確率で固着します。
ブレーキパッドを1つずつ入れて行きます。
もう1つのブレーキパッドを入れます。
落ちますので、指で支えています。
慣れないと以外に難しい作業です。
ブレーキパッドを固定するピンネジを通します。
ブレーキパッドを指で下から上へ強く押しつけてください。
写真でも親指で押し上げているのが分かると思います。
ピンネジを2本とも通すと、写真のようにブレーキパッドが閉じてしまうことがありますが、簡単に空けられます。
指で左右に広げて隙間を空けて、ブレーキディスクが入る隙間を付くってください。指ではひらかない場合は何か引っかかりがあることが考えられるので、一度、ピンネジをはずしてから、再度、ブレーキパッドを組み付けてください。
ピンネジを手で回して締めます。
レンチ類は最後の増し締め以外は使いません。
絞めていて引っかかりがあるようでしたら、ネジがなめているかゴミが付着しているか、などがありますので、一度ネジを取って切れ良いにふき取ってからモリブデングリースを塗布して、再度絞めてください。
手で締めるだけでも、ここまで絞めることが出来ます。
最後の増し締めをレンチで行います。
絞め終えたら、はみ出してきたモリブデングリースをウエスでふき取ってください。
ホイールを組み込む前に、ブレーキパッドの隙間がブレーキディスクが入るか確認をします。
ホイールを組み込みます。ブレーキディスクがブレーキパッドの隙間に確実に入る様にします。
ホイールを手だけで支えるのは無理ですので、タイヤの下に足を入れて、つま先を使って支えて高さを調整します。
アクスルシャフトに固着防止とさび止めのために、グリースを塗布します。
アクスルシャフトを差し込みます。
チェーンの張りを調整します。
リアリンクの下側のチェーンのたるみ具合で、張りの調整をします。
チェーンを上下に押します。
この上下の幅でチェーンの張りを決めます。詳しい数字は整備マニュアルに書いてあります。
アクスルシャフト側に付いている円盤(アジャスタ)でチェーンの張りを調整します。数字を左右、同一にしてください。
チェーンの張りの調整に自信のない方は、はずす時に覚えておいた数字に合わせてください。
左右とも円盤(アジャスタ)の数字を同じにします。
その後で、レンチでアクスルシャフトを締めます。
ブレーキガードを取り付けます。
リアブレーキのフットレバーを押します。
ブレーキパッドを入れる時に、隙間を広げてあるので数回押します。最初はすかすかすると思います。これが「カチ」としたら、大丈夫です。
作業を終えたら試運転をします。
確実にリアブレーキが効くか、確認してください。
また、リアブレーキから異音がしないかも確認してください。
異常がなければ、作業は終了です。お疲れさまでした。
H.N.うーたん(Yuichi Mizunuma)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。林道への案内板やクライミングトークのWebMasterでもあります。使用バイクのジェベルXCは1997年型、2002年型と乗り継ぎ、三台目の2004年型のジェベルXCを売却して、現在はバイクツーリングには行っていません。、これまでのツーリングの総走行距離は約21万kmです。
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2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。
現在は東京都八王子市高尾に在住しています。オートバイから少し離れていて、主に登山とサイクリングを趣味にしています。
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