タイミングと箇所
ここで取り上げるのはジェベル250XCのフロント周りとリアのオーバーホールです。
2004年式のバイクですが2008年に中古で購入をした時にすべてをオーバーホールしました。今回は2回目です。ちょうど3年を経過しました。
わたしの経験では、フロントのステムベアリングやリアリンクのベアリングのグリースアップは、1万キロを走行するか2年経過すると必要となるようです。ただしこれは、雨天の走行が多い、未舗装の林道走行が多い、など過酷なツーリングをしている場合です。
リアリンクのオーバーホールの作業手順はすでに書いていますので、以下はオートバイのリアのオーバーホールの時期や作業箇所、ツールの話です。
今回の作業をする箇所の紹介です。まずはリア側から。
リアリンクのグリースアップ。
チェーンの交換(純正品)。
リアタイヤの交換(ブリヂストンTW302)。
ドリブンスプロケット(エンジン側、純正品)の交換。
各部分に付いた泥や汚れを落とす。
ブレーキパッドなどの摩耗の確認。
ネジ、ボルト類を緩めて固着の防止を図る。
作業時間は約4時間です。
フロント側は。
フォークオイルの交換。
フロントタイヤの交換。
ステムベアリングのグリースアップ。
ブレーキパッドなどの摩耗の確認。
スピードメーターワイヤーのグリースアップ。
ネジ、ボルト類を緩めて固着の防止を図る。
作業時間は約4時間です。
それぞれの箇所がどのように劣化しているか、おいおい紹介して行きます。
使用するツールの紹介です。
まずはグリースガン。
このグリースガンは手のひらサイズの小型のものです。
大変によく考えられたグリースガンで、従来あった後ろ側のチェーンがありません。
レバーをパコパコしたときの負圧でグリースを出すようです。
携帯式作業スタンド。
加重100kgまで耐えられたと思います。
片手サイズのスタンドなので、ツーリングに持ち歩くのに便利です。
ツーリング中の劣悪な作業環境に合わせるために、わたしは普段の作業でもこのスタンドを使っています。
作業台と比べれば不安定なので、バイクが倒れて下敷きになる可能性があります。三回ほどバイクが倒れてきましたが、バタンとではなく、ジリジリバイクが倒れ込んでくるので、押しつぶされることはありませんでした。もちろんけがもしていません。オフロードバイクは軽いので怪我はしないようです。
この様に使います。
kure 556。
潤滑剤として知られていますが、オーバーホールでは、グリースを溶解してベアリングをクリーニングするのに使います。
ドリブンスプロケットの取り外し、取り付けに使う特殊工具。
極力特殊工具は使わない様に作業をしていますが、これだけは代替えできません。
耐水性紙やすり。
ベアリングが錆ていた時、コロ(スペーサー)も錆ているので、その錆を落とすのに使います。
モリブデングリース。
主にリアリンクに使います。
各部分の摩耗や状態の紹介です。
リアブレーキはあと2000kmほど走れそうでした。
偏摩耗をしていないか、念のため確認をします。
以上は見られませんでした。
ブレーキを取り付けているネジは、ブレーキが熱を持つので固着しやすいです。
交換の必要がなくても、定期的に取り外してグリースアップをすることで、固着を防げます。
ここで使うのは、耐熱性のあるモリブデングリースです。
取り外したリアのスイングアーム。
クラックなどは入っていないと思いますが念のための確認です。
リアアームに付いているパーツを外して汚れを落とします。
こうした細かな作業は分解した時でないと、なかなかできません。
これはリアブレーキホースを固定している部品です。
リアアームをチェーンから保護しているディフェンサー。
ジェベル250XCはこれがよくチェーンによって削られます。みてみると相当に痛んでいました。交換してもよい時期です。
リアアームにも、石がヒットして付いた傷がありました。
真っ赤に錆びていたリアリンクのベアリング。
スペーサーも同様でした。
錆びたグリースは、研磨材と同じです。
徐々にベアリングを摩耗させてしまいます。
サンドペーパーで錆を落とします。
擦る方向は、ベアリングの回転する方向に直角になる様にします。
556を吹きかかけてグリースを溶かし流してしまいます。
錆びを含んだグリースを流したら、新しいグリースを指先でベアリングの隙間に入る様に押しつけます。
もう一箇所、ベアリングに錆が発生していました。
これも同様の処置をします。
三年間、放ってあったにしては、錆びているベアリングは少なかったと言えるでしょう。
以前、北海道から自宅まで約千キロを、台風の中を走って帰宅したことがあるのですが、リアリンクのほとんどのベアリングに浸水していました。
錆びて伸びたチェーンの比較。
2cm以上、長さが違います。
次いでフロント周りのオーバーホールです。
タイヤ、フォークを外してステムのベアリングを見ます。
多少錆が浮いていました。
このベアリングは約4万キロで摩耗します。摩耗してしまうと、ハンドルの操作がとてもぎこちなくなり大変に危険です。
1万キロから2万キロにかけて、定期的にグリースアップをすれば、摩耗は防げます。
ステムの上側のベアリング。
こちらはあまり荷重がかからないからか、錆は発生していませんでした。
フロントフェンダーに蜂の巣が。
見たこともない土で作られた蜂の巣を見つけました。フェンダーに着いていた泥をかき集めて作った様です。もう使われなくなっていました。
これなども、パーツを分解しないと、なかなか気がつかない箇所です。
フロントブレーキのパッドは完全に無くなっていました。あと300kmも走ればディスクを傷つけていたかも知れません。
ブレーキパッドを交換する時には、ブレーキフィールドも交換します。
液量を新品のパッドに合わせるためですが、パッドと同時に交換をすれば、交換のサイクルが分かりやすいからでもあります。
三年前に交換したきりなので、黒ずんだ色になっていました。ここまで劣化してしまうと、ブレーキの感覚もとても悪いものになっています。徐々に悪くなっているので気づきにくいだけです。
スピードメーターワイヤーのグリースアップ。
2万キロを目安にしないと、切れる場合があります。定期的にグリースアップをしているのですが、過去に2回ツーリング中に切れました。
フォークオイルの交換。
今回はカワサキのG10が入手できました。
ジェベル250XCのフロントフォークの感覚を一番生かしてくれるのが、カワサキのG10です。
この後、フロントタイヤを交換して作業を終えました。
H.N.うーたん(Yuichi Mizunuma)
当サイトの執筆・撮影とシステムの製作等全てを行っています。林道への案内板やクライミングトークのWebMasterでもあります。使用バイクのジェベルXCは1997年型、2002年型と乗り継ぎ、三台目の2004年型のジェベルXCを売却して、現在はバイクツーリングには行っていません。、これまでのツーリングの総走行距離は約21万kmです。
×閉じる
2013年まで、春夏秋冬、北海道から九州沖縄まで、ツーリング・登山・サイクリング・パドリング(カヤック)をしています。年間のテント泊数は40泊から60泊程度、日帰りを含めると年間80日くらいはアウトドアにいました。
現在は東京都八王子市高尾に在住しています。オートバイから少し離れていて、主に登山とサイクリングを趣味にしています。
SNSのURL
facebook Yuichi Mizunuma
twitter Yuichi Mizunuma
×閉じる